衛生管理について。「洗う」と「殺菌」は違います

2026/07/16 20:05:04
業種
飲食・レストラン
職種
シェフ・調理師
担当者
kurosuke
電話番号
0123456
エリア名
他のエリア , Deutschland

ヨーロッパで日本食店に勤務していて、最近の猛暑で本当に気になることがあります。

正直に言うと、海外の日本食業界は学生アルバイトや未経験者に支えられている店も少なくありません。それ自体は悪いことではありませんが、「衛生管理まで素人」というケースがあるのは問題です。

一番多い勘違いが、「ハンドソープや食器用中性洗剤には殺菌効果がある」という思い込みです。

一般的なハンドソープや中性洗剤は**洗浄剤**です。主な役割は汚れや細菌を洗い流すことであり、消毒剤のように菌を殺すものではありません。

もちろん洗うことは非常に重要です。しかし、「洗剤で洗ったから菌は死んだ」と考えるのは危険です。

菌は目に見えません。そして夏場は想像以上のスピードで増殖します。

勘違いしている人も多いですが、細菌は乾燥すると増殖しにくくなりますが、種類によっては長期間生き残ります。逆に、水分・栄養・20~45℃程度の温度がそろうと急激に増殖します。今年のヨーロッパのような猛暑は、まさに細菌にとって絶好の環境です。

さらに重要なのは、「加熱すれば何でも安全」ではないことです。

多くの食中毒菌は十分な加熱で死滅します。しかし、黄色ブドウ球菌のように食品中で毒素を作る菌は、一度毒素ができてしまうと加熱しても完全にはなくなりません。つまり、「あとで火を通すから大丈夫」という考え方は通用しない場合があります。

鶏肉はカンピロバクターやサルモネラを保有していることが珍しくありません。生肉を触った手で野菜や寿司ネタを触れば、それだけで交差汚染です。

卵も同様です。ヨーロッパではサルモネラ対策として加熱を前提に扱う国が多く、割った卵を室温に長時間放置するのはリスクがあります。

魚介類も「生だから新鮮なら大丈夫」ではありません。冷蔵管理が甘ければ細菌は増殖します。寿司店だからこそ温度管理が命です。

そして意外に危険なのが手袋です。

手袋は魔法ではありません。汚れた手袋で冷蔵庫、包丁、スマホ、ドアノブを触り、そのまま寿司やサラダを触れば、素手と同じように菌を運んでいます。

飲食店で本当に大切なのは難しい知識ではありません。

・生肉、生魚、卵を触ったら毎回手洗いする。
・まな板と包丁を用途別に使い分ける。
・洗浄と消毒は別物だと理解する。
・冷蔵品は5℃以下を維持する。
・加熱食品は中心部まで十分に加熱する。
・調理済み食品を室温に放置しない。
・「見た目も匂いも大丈夫」は安全の根拠にならない。

海外では「日本食=衛生的」というイメージを持って来店してくれるお客様が多くいます。

だからこそ、「忙しいから」「今まで大丈夫だったから」「洗剤で洗ったから」という根拠のない安心感が、一番危険です。

食中毒は運が悪くて起こるものではありません。基本を軽視した結果として起こるものです。

今年の猛暑では、いつものやり方が通用しない可能性があります。日本食の信用を守るためにも、現場で働く一人ひとりが「洗う・分ける・冷やす・加熱する」という基本を、もう一度見直してほしいと思います。

記事No. 340436

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